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本作の本質は、中沢啓治という一人の人間の眼差しを通し、凄惨な記憶を現在進行形の息遣いへと昇華させている点にあります。スクリーンに刻まれるのは単なる過去の記録ではなく、彼の肉体と声が放つ剥き出しの真実です。言葉の一つひとつが魂を震わせ、教科書では決して触れられない生への執着と怒りを浮き彫りにしています。 現在の広島の風景と鮮烈な回想が交錯する演出は、沈黙する街に潜む悲鳴を呼び覚まします。本作が提示するのは、惨禍を語り継ぐ重圧と、未来を信じようとする狂おしいほどの情熱です。カメラが捉える中沢氏の表情の機微こそが、言葉を超えた最強のメッセージとして、観る者の心に深い爪痕を残します。
監督: Ishida Yuko
音楽: Hiroshi Ogawa
制作: 山上徹二郎 / Kuniko Watanabe
制作会社: SIGLO