あらすじ
腕に自慢の巾着切りが間違って仇討免状をスリ取ったことからとんだ事件に巻きこまれる物語をコミカルなタッチで描いた軽妙時代劇。
作品考察・見どころ
若き日の山城新伍が放つ瑞々しい生命力と、九代目澤村宗十郎が漂わせる歌舞伎由来の気品。この異色とも言える顔合わせが、画面に類稀なる躍動感と色気を生み出しています。捕物帳の枠組みを借りながらも、人間の業と情愛を軽妙かつ鋭く切り取った演出は、まさに東映時代劇の黄金期を象徴する粋な美学に満ち溢れています。
十手を持つ側の正義と、巾着を切る側の宿命。相反する立場にありながら通い合う心を描き出すドラマツルギーは、現代の観客にも鮮烈なメッセージを突きつけます。色彩豊かな映像美の中で交錯する、若さゆえの葛藤と成熟した演技の対比こそが本作の真骨頂であり、時代を超えて愛されるべきエンターテインメントの真髄がここに凝縮されています。