欧州ジャズ界の至宝、ウィーン・アート・オーケストラの深淵に迫る本作は、単なる演奏記録の枠を超え、音響が視覚へと変換される魔法のような瞬間を捉えています。伝統的な欧州の音楽的語法と前衛的なジャズが衝突し、火花を散らす様は圧巻です。奏者たちが織りなす極限の緊張感と、即興がもたらす自由の風が、観る者の感性を鋭く研ぎ澄ませます。
旅路で響く「こだま」は、過去への敬意であり未来への挑戦状でもあります。緻密なアンサンブルの中で個の魂が解き放たれる瞬間にこそ、楽団の真の生命力が宿っています。音楽が時代を凌駕していく過程をまざまざと見せつける、情熱に満ちた芸術的ドキュメンタリーの傑作です。