ニノ・タラントの圧倒的な喜劇センスが爆発する本作は、単なるドタバタ劇を超えたイタリア喜劇の真髄を提示しています。中世の騎士道精神や貞操観念を、鋭い諷刺とユーモアで解体していく演出が見事です。カミッロ・ピロットやアルバ・アルノヴァとのアンサンブルが、物語に奥行きと洗練された気品を与えており、その一挙手一投足から一瞬たりとも目が離せません。
作品の根底にあるのは、人間の独占欲や嫉妬がいかに滑稽であるかという普遍的なテーマです。映像ならではの軽妙なテンポ感は、言葉の壁を越えて観客を笑いの渦に巻き込みます。古典的な舞台装置を逆手に取った独創的なビジュアルは今見ても新鮮な驚きに満ちており、不変の人間愛を笑い飛ばす情熱に溢れた珠玉の名作と言えるでしょう。