“なにを忘れて大人になろうか”
赤色彗星の到来で彗星核を作ろうと画策する天文学部員たちのむせ返るような日々を刹那的に描く青春SFドラ
本作は、SFという枠組みを借りながら、誰もが抱く届かないものへの憧憬を瑞々しく描いた珠玉の群像劇です。最大の見どころは、日常に溶け込む非日常の気配を、詩的な映像美で捉えた演出にあります。武井佑吏監督の鋭い感性が、天体観測という静謐な行為を通じて、登場人物の孤独と宇宙の広がりを鮮やかにリンクさせています。 羽馬千弘や手島実優らが見せる、揺らぎに満ちた演技も圧巻です。ドキュメンタリーのような生々しさと、幻想的な情緒を両立させた彼らの佇まいは、観る者の魂を強く揺さぶります。この世界はどこへ続くのか。そんな根源的な問いを投げかける本作は、鑑賞後も青く温かな残響を残し続ける名作と言えるでしょう。
監督: Yuri Takei