あらすじ
女刑事・加賀美英子はその美しさでストーカーを誘い出し逮捕する囮捜査に乗り出していた。そんなある日、人気作家・吉井賢一の馴染みのコールガールが次々殺害される事件が起こる。殺されたのはすべて関係を持った直後で、殺害現場にはいつも吉井の著書「狂愛」が置かれており、破かれたページは犯人からのメッセージを意図しているかのようだった。さらに、吉井の側近秘書であり恋人でもある・美智子が犯人として逮捕され事件は解決したかのように見えた。だが、真犯人の足音は吉井のすぐそばまで近づいていた―!!
作品考察・見どころ
本作が放つ抗いがたい魅力は、理性を凌駕するほどの執着心が招く、濃密な官能と狂気の境界線にあります。90年代特有のざらついた質感が、登場人物たちの湿り気を帯びた情念を際立たせ、観る者を逃げ場のない心理的迷宮へと誘います。単なるスリラーの枠に収まらない、人間の深淵を覗き込むようなヒリついた緊張感が全編に横溢しており、その美しくも残酷な映像世界に圧倒されます。
金田賢一、四方堂亘、立原麻衣という実力派たちが繰り広げる、剥き出しの感情のぶつかり合いは圧巻です。愛という名の支配が形を変え、ホラー的な恐怖へと変貌していく過程を、静謐かつ大胆な演出で描き切っています。歪んだ愛の形を肯定も否定もせず、ただそこに存在する「切実な渇望」として提示する本作は、現代の洗練された映画にはない、泥臭くも崇高なエネルギーに満ち溢れています。