あらすじ
富士山のふもとにある動物たちが住む村に海軍に出征していた猿、犬、雉、熊が休暇で帰ってくる。思い思いに休暇を楽しむ彼らのうち、猿は弟を含む近所の子供たちから海軍の仕事について聞かれると航空兵であると語るがそれは嘘で実際は猿と犬、熊は極秘で編成された海軍陸戦隊落下傘部隊であった。やがて休暇が終わり彼らは海軍設営隊と現地民が協力して建設した飛行場に赴き現地民に日本語を教える傍ら桃太郎隊長と共に訓練に明け暮れる。やがてかつて平和な島だったが鬼のだまし討ちにより征服された『鬼ヶ島』への空挺作戦が発動される。
作品考察・見どころ
日本初の長編アニメとしての圧倒的な技術力が最大の魅力です。戦時下の極限状況で生まれたとは思えないほど、動きは滑らかで美しく、音楽と映像が完璧に調和した流麗な演出は圧巻です。ディズニーの技法を独自の美学へと昇華させた視覚体験には、後の日本アニメの源流となった制作者たちの魂の叫びが刻まれています。
単なる宣伝の枠を超え、そこには表現への狂気的な情熱が宿っています。平和な描写と軍事作戦の冷徹さが同居する異様な緊張感、そして繊細な光の表現は、観る者の心を激しく揺さぶります。アニメーションという魔法が、時代の荒波の中で何を描こうとしたのかを証明する、歴史的かつ芸術的な奇跡の一本です。