本作の核は、清川虹子が体現する圧倒的な母性と凄みにある。男たちの血生臭い抗争が渦巻く極道の世界において、彼女が放つ慈愛と冷徹さの同居した佇まいは、ジャンルの枠を超えた高潔な美しさを放つ。ただ強いだけではない、背負った業を噛み締めるような女親分としての器の大きさが、画面全体を重厚に支配している。
山城新伍や菅原文太といった猛者たちが脇を固めることで、緊張感は最高潮に達する。泥臭いリアリズムと任侠の様式美が火花を散らす演出は見事だ。義理と人情の狭間で揺れる人間模様を、暴力の裏側に忍ばせる演出力こそが、本作を単なる娯楽作から魂の記録へと昇華させている。