本作は、伝説的な舞台が現代の映画へと昇華される過程を追った、単なるメイキングを超えた魂の記録です。ジム・パーソンズら全キャストが当事者として臨んだ2020年版の舞台裏には、かつて自己嫌悪の象徴とされた原作の痛みを、連帯と誇りへと転換させる力強い情熱が宿っています。
演劇特有の濃密な空気感を継承しつつ、俳優陣が自身のアイデンティティを役に投影する姿は圧巻です。原作者マート・クロウリーの言葉と共に、過去の苦難を肯定し次世代へ繋ぐその視点は、表現の自由を勝ち取ってきた歴史の重みを鮮烈に描き出します。痛切な愛と自己受容のメッセージに、胸が熱くなること必至です。