あらすじ
児童福祉職への就職が決まっている束谷大学文学部社会学科4年生・堀貝佐世(佐久間由衣)は、アルバイトと学校と下宿先を行き来しながら、友人たちと退屈な日々を過ごしていた。そんな中、同じ大学に通う猪乃木楠子(奈緒)と出会い、痛ましい過去を持つ彼女と親しくなる。やがて、学内の知人・穂峰直(笠松将)の死をきっかけに、堀貝は何げない日常と隣り合わせにある残酷な現実を知ることになる。
作品考察・見どころ
本作が描くのは、モラトリアムの終焉を予感させる大学生たちの、ひりつくような心の揺らぎです。主演の佐久間由衣が見せる不器用な佇まいと、奈緒が放つ静謐で重厚な存在感。二人の繊細な演技が、若さという特権の裏側に潜む暴力性や孤独を鮮烈に浮かび上がらせ、観る者の記憶に深く爪痕を残します。
吉野竜平監督の演出は、日常の余白に潜む「救いようのない痛み」を、過度な説明を排した映像美で捉えています。他者の深淵に触れる恐怖と、それでも繋がろうとする祈りのような決意。この葛藤を等身大の視線で描き切った本作は、今を生きるすべての人への痛烈なエールとなり、胸を締め付けられるほどの感動を呼び起こします。
映画化された原作や関連書籍を読んで、映像との違いや独自の世界観を楽しみましょう。