本作の魅力は、奇妙な題名に秘められた重層的な人間模様の美しさにあります。中原丈雄の重厚な佇まいと塩谷瞬の瑞々しい熱演が共鳴し、日常の何気ない一瞬を輝くドラマへと変貌させています。黒田福美の演技も相まって、単なるコメディの枠に収まらない、人生への深い慈しみを感じさせる仕上がりは見事です。
不条理な笑いの中に、不器用な人々が繋がる尊さを描く演出は秀逸です。バラバラなピースが結びつく瞬間のカタルシスは、観る者の心を解放し、人生の不確かささえも愛おしく感じさせてくれます。鑑賞後、心に灯がともるような高揚感と共に、明日を生きる勇気をくれる稀有な一作です。