本作の最大の魅力は、聖域視されがちな「母親像」という普遍的なテーマを、毒気たっぷりのユーモアで鮮やかに解体してみせるその大胆な演出にあります。アレハンドラ・リベラとラケル・ガルサという稀代のコメディエンヌが見せる、対照的な母親像の火花散る応酬は圧巻です。型にはまらない彼女たちの熱演は、単なる笑いを超え、観る者の倫理観や固定観念を心地よく揺さぶるエナジーに満ちています。
映像表現としては、メキシコ特有の色彩感覚とテンポの良い編集が、予測不能なドタバタ劇に洗練されたリズムを与えています。完璧であることの虚無感と、不完全であることの人間味を、爆笑の渦の中に描き出す本作のメッセージは、現代を生きるすべての人への力強いエールと言えるでしょう。笑いの裏側に潜む鋭い社会風刺を、ぜひその肌で感じ取ってください。