この作品は、一人の男の情熱が世界のあり方を変えていく瞬間に肉薄した重厚なドラマです。アンリ・デュナンの精神を単なる美談にせず、理想と現実の狭間で苦悩し、破滅の縁で人道を叫び続けた一人の人間としての生々しさを、圧倒的な熱量で描き出しています。
主演のトマ・ジュアネによる、魂を削るような熱演は見事です。戦場の地獄で目撃した惨状を、慈悲と決意へ変えていくその瞳の力強さが、観る者の胸を激しく揺さぶります。信念を貫くことの孤独と気高さを提示しており、我々に良心とは何かを問い直す、情熱に満ちた映像体験となります。