あらすじ
引っ越してきたばかりのムーミン一家は、ジャコウネズミから地球に迫ってくるという彗星の話を聞く。もっと詳しいことを知るため、ムーミンはミイ、スニフと共に、おさびし山にある天文台へ向かう旅に出る。スナフキン、フローレン、スノークといったおなじみのキャラクターたちとの最初の出会いや襲いかかる怪物や彗星への恐怖と闘いながら仲間たちは旅をつづける。
作品考察・見どころ
本作の真髄は、静謐なムーミン谷に忍び寄る終末の気配を、圧倒的な色彩美で描き出した点にあります。迫り来る赤い彗星の恐怖と、それに対峙するムーミンたちの無垢な勇気が織りなすコントラストは、観る者の心に強烈な印象を刻みます。高山みなみさんや子安武人さんら名優たちの演技が、平穏な日常の尊さを浮き彫りにし、物語に深い哲学性を与えています。
原作が持つ静かな孤独感を尊重しつつ、映画ならではの躍動感溢れる冒険劇へと昇華させた演出は見事と言うほかありません。形あるものが失われるかもしれない極限状態において、なお「本当に守るべきものは何か」を問い続ける彼らの姿は、不確実な現代を生きる私たちの心に熱く響きます。アニメーションという表現だからこそ到達できた、美しくも切ない傑作です。
映画化された原作や関連書籍を読んで、映像との違いや独自の世界観を楽しみましょう。