ジョルジュ・ルークという稀代の怪優が放つ圧倒的な熱量が、本作の心臓部です。荒野を舞台にしたバイオレンスの中に、単なる娯楽に留まらない人間の業や哀愁が濃密に描き出されています。ルークの鋭い眼差しは、法と個人の正義が衝突する極限状態において、言葉以上に雄弁に観客の魂を揺さぶります。
メキシコ映画特有の土着的なリアリズムと、静寂の中に潜む緊張感の対比が見事です。映像から立ち昇る埃っぽさと血の匂い、そしてアダ・カラスコらの抑制の効いた演技が、普遍的な家族愛や矜持というテーマに深い説得力を与えています。過酷な運命に抗う人間の美学を凝縮した、泥臭くも高潔な一篇です。