あらすじ
それぞれが社会の水に馴染めず、個々の問題を抱え、厭世観に支配され生きている5人の女。たまたま居合わせた宝石店で、5人組の宝石強盗に出くわす。だが女たちは怯むどころか逆襲に転じ、拳銃を奪い取り、お互いの名前も知らぬまま、時価10億円の宝石を盗んで逃走してしまう。しかし、宝石を横取りされた強盗の背後には、暴力団の大きな影があった。そして、その暴力団の借金取立てでの暴行により妻を自殺に追い込まれ、復讐に燃える鉄工所の経営者が絡み、三つ巴の壮絶なバトルが始まる。
作品考察・見どころ
石井隆監督の美学が凝縮された本作は、湿り気を帯びた色彩と闇が織りなす圧倒的な映像美が白眉です。虐げられた者たちが抱く執念を、雨とネオンの中に溶け込ませる演出は、観客の視覚に直接突き刺さります。緒形拳という重鎮を軸に、大竹しのぶや余貴美子ら実力派女優陣が魂を削るようにして演じる、狂気と気高さが共存したギリギリの表情は、まさに奇跡的な瞬間と言えるでしょう。
描かれるのは、社会の縁に追い詰められた魂が放つ、最期で最大の閃光です。言葉にならない絶望を暴力と叙情性へと昇華させたその手腕は、日本映画史におけるノワールの極致を提示しています。自らの尊厳を取り戻すために命を燃やす彼女たちの姿は、単なる復讐劇を超えた、凄絶なまでに美しい生命の謳歌そのもの。その熱量に圧倒される、至高の視聴体験がここにあります。