この作品の真髄は、北極圏の峻厳な自然と共生するサーミの人々の静謐な日常を、一切の虚飾を排して切り取った圧倒的な映像美にあります。銀世界に刻まれるソリの跡や、吹き荒れる風の音までもが視覚化されたかのようなリアリティは、観る者の五感を研ぎ澄ませ、自然への畏怖と敬意を呼び覚まします。
登場するインカ・レンタたちが放つ、大地に根ざした力強い眼差しこそが最大の見どころです。過酷な環境を慈しむような深い精神性と、今この瞬間を生き抜く命の鼓動を描き切った本作は、人間が本来持っていた自然の一部としての在り方を問いかける強烈なメッセージを放っています。