本作が放つ最大の魅力は、日常の中に潜む「ヒーロー性」を軽妙かつ力強い筆致で描き出した点にあります。主人公ロラが見せる、不器用ながらも真っ直ぐに他者と向き合う姿は、現代社会で摩耗しがちな自己肯定感と利他的な愛を鮮烈に肯定します。サイダ・ジャワドの瑞々しい熱演が、単なるコメディの枠を超えた人間賛歌としての深みを与えています。
演出面では、ウィットに富んだ会話劇とベテラン陣の絶妙なアンサンブルが見どころです。華美な特殊能力ではなく勇気という名の魔法を信じさせてくれる本作は、閉塞感のある日々に彩りを添える一筋の光のようです。鑑賞後、誰もが自分の人生というステージで一歩踏み出したくなる、極上のエンターテインメントと言えるでしょう。