本作は、シリアスな犯罪捜査ドラマの定石を鮮やかに覆す、チェコ映画界の才気が光る傑作パロディです。北欧ノワール特有の重厚な演出を完璧に再現しつつ、展開されるのは予測不能なナンセンス。この「様式美と滑稽さのギャップ」こそが最大の魅力であり、ジャンル映画への深い愛と皮肉が絶妙に同居しています。
俳優陣がどこまでも真面目に「型」を演じ切ることで、笑いの強度は極限まで高まります。単なるコメディの枠を超え、虚構のリアリティを解体していく演出は圧巻。暗い事件をも笑い飛ばすような、人間の愚かさと愛おしさを肯定する圧倒的なエネルギーに満ちた一作です。