フリッツ・ラングの名作『M』の深層に迫る本作は、映画が持つ物質的・歴史的な重みを鮮烈に描き出しています。ピーター・ローレの瞳に宿る時代の狂気や音響技術への挑戦を再構築する手腕は見事であり、映像が単なる記録を超え、時代を映す「証言者」へと昇華する瞬間をまざまざと見せつけます。
アインシュタインをも交えた時代精神を紐解く本作は、芸術を保存する行為の尊さを強く訴えかけます。一コマに宿る情熱を掘り起こすその視座は、観客に映画というメディアの真の深みを再発見させる、極めて知的で情熱的な体験となるはずです。