あらすじ
大河崎重工・自衛隊・米軍の三者は、対戦車用の新型陸上兵器スレイヴ・トルーパー「MADOX」を完成させる。それは強大な装甲と攻撃力を有する試作パワードスーツだ。だが性能実験で、引き立て役を強いられた米陸軍戦車隊のエース・キルゴアは、MADOXに遺恨を抱く。しかしMADOXは秘密輸送中、不慮の事故を経て自動車工場勤務の市井の若者・杉本紘二の手に渡ってしまう。不完全なプログラムが作動、機体を着込んでしまう紘二だが、彼はその日、海外留学する恋人・名倉しおりを見送りに行く大事な用があった。MADOXを着込んだまま強引に空港に向かう紘二。だが、その前にあのキルゴアの姿が……。
作品考察・見どころ
1980年代のOVA黄金期が生んだ本作の真髄は、無骨な金属の質感と、平穏な日常が暴力的なテクノロジーに浸食される瞬間の凄まじい熱量にあります。荒牧伸志によるメカニックデザインの緻密さは圧巻で、重厚な装甲が火花を散らす描写は、デジタルでは決して到達できないセル画ならではの物理的な重みと、当時のアニメーターが抱いていた偏執的なまでの美学を強烈に突きつけてきます。
ごく普通の若者が最先端兵器に閉じ込められるという構図は、制御不能な力への畏怖と、それを乗りこなす高揚感を見事に同居させています。松本保典ら実力派キャストが放つ緊迫の演技が、都市を戦場に変える破壊のスペクタクルをより生々しく彩り、観る者のアドレナリンを沸騰させることでしょう。メカニカル・アクションの原点にして頂点とも言える、色褪せない衝撃がここにあります。