この作品の真髄は、都会の片隅で揺れ動く若者たちの、行き場のない純情と孤独を美しく切り取った抒情性にあります。野村芳太郎監督は、佐田啓二の静謐な佇まいと若尾文子の瑞々しい輝きを鮮烈に対比させ、言葉にならない心の機微を、滴るような陰影の中で描き出しました。
特に、名優たちが体現する剥き出しの感受性は圧巻の一言です。石濱朗が魅せる焦燥、そして沈黙の中に渦巻く切実な情熱は、観る者の胸を鋭く突き刺します。失われゆく純真さへの惜別を「涙」という象徴に昇華させた演出は、単なる悲劇を超え、観る者の魂を激しく揺さぶる高潔な美しさを湛えています。