本作の真髄は、混迷を極める社会を生き抜こうとする人間の滑稽さと愛らしさを、切れ味鋭い風刺で切り取った点にあります。タチアナ・ワシーリエワら実力派キャストが魅せる、欲望と理想が入り混じるエネルギッシュな演技は、観客を一気に引き込み、スクリーン越しに当時の熱量を伝播させます。
単なる喜劇に留まらず、無謀な「天才的アイデア」が現実の荒波に揉まれていく様を冷徹かつ温かく描く演出は圧巻です。極限状態での生命力と、滑稽なまでの矜持に、深い共感と爽快感を覚えずにはいられないでしょう。時代を象徴する、知的なエネルギーに満ちた傑作です。