森田芳光監督の瑞々しい感性が爆発した本作は、八十年代という時代の空気を、単なる風俗描写を超えて一つの芸術へと昇華させています。特筆すべきは、計算し尽くされた独特のテンポが生み出す「軽やかさ」の美学です。キャストたちの等身大な演技と重なり合い、何者でもない若者たちの日常が、一遍のポップソングのように心地よく、それでいてどこか切ないリズムを刻み続けます。
都会的な洗練と、言葉にできない焦燥感が同居する映像世界は、観る者の五感を刺激し、理屈抜きの陶酔感を与えてくれます。物語の意味を追うのではなく、そこに流れる時間と色彩、そして若さゆえの奔放な「揺らぎ」そのものを享受する。映画というメディアが持つ、理屈を超えた衝動的な魅力を再確認させてくれる、極めてスタイリッシュな傑作です。