ジャック・リヴェットが描くパリは、迷宮のようなボードゲームへと変貌します。都市の片隅に潜む不可解な暗号や監視の影が、日常をスリリングな冒険へと塗り替えていく演出は見事です。現実と虚構が曖昧に溶け合う作風は、観客を心地よい浮遊感へと誘い、映画という媒体が持つ自由奔放な遊び心を再認識させてくれます。
実の母娘であるビュルとパスカル・オジェの共演は、比類なき生命力を作品に吹き込んでいます。ドン・キホーテのように都市を彷徨う彼女たちの姿は、社会の抑圧に抗う純粋な魂の輝きを放ちます。謎とユーモアが交錯する不条理な世界を、軽やかに駆け抜ける解放感に満ちた珠玉の一本です。