マカオの異国情緒と虚無感が混じり合う独特の空気感こそが、本作の真骨頂です。主演の小林旭が体現する孤独の美学は、研ぎ澄まされたアクションの中でいっそうの輝きを放ち、夜の街を彷徨う男の宿命をこれ以上ないほど雄弁に物語っています。江崎実生監督によるスタイリッシュな映像演出が、裏社会の非情さを鮮やかに描き出します。
十朱幸代の可憐さと弓恵子のミステリアスな存在感も、非情な犯罪世界に深い情念の彩りを添えており、実に見事です。言葉よりも視線や背中で語る男の美学、そして緊迫感あふれる演出の数々は、時代を超えて観る者の魂を震わせる、極上のハードボイルド・アクションへと昇華されています。