この作品は、天才ダリが構築した「神」という名の虚像と実像の境界を揺るがす狂気的な映像体験です。アンリク・アルシデスらの体現は、ダリの誇大妄想が単なる演技ではなく、彼自身の生存戦略であったことを生々しく暴き出します。芸術が人間を喰らい、神格化させていく凄絶な過程に、観る者は激しく翻弄されるでしょう。
ドキュメンタリーの枠を超え、シュルレアリスムを映像美で具現化した演出は圧巻です。ダリの脳内を覗き込むような没入感は、映画という媒体でしか到達し得ない領域。自己を演出し切り永遠を掴もうとした男の執念は、表現の本質を問い直す強烈なメッセージとして魂を揺さぶり続けます。