本作は、一人の女性の人生という旅路を三人の名女優が体現する「魂のクロニクル」です。マルガレータ・クロックの重厚な存在感を中心に、世代の異なる三者が織りなす対話は、観る者の深淵に潜む過去・現在・未来を激しく揺さぶります。人生の黄昏時に訪れる冷徹な自己省察と、それを受容した先に立ち上る凄絶な美しさが、静謐な映像の中で見事に結晶化しています。
画面から溢れ出すのは、避けて通れない「老い」の真実と記憶の輝きです。演者たちの緻密なアンサンブルが、一人の精神が変容し研ぎ澄まされていく過程を鮮烈に描き出します。今を生きる自分を客観視させ、残酷ながらも愛おしい生の本質を炙り出す、真に知的な映像体験に心を奪われずにはいられません。