あらすじ
大量の麻薬を押収された犯罪組織が警察に報復の罠を仕掛けた。次々と警官が倒れる中、特殊部隊の隊長ビジョイだけが難を逃れる。倒れた仲間たちを救うには5時間以内に治療が必要だったが、そこは街から遠く離れた警察の保養地。タイムリミットが迫る中、彼が頼れるのは拘留中の謎の男・ディリだけだった。猛追する暴徒たちの攻撃をかわしながら、トラックで病院をめざすビジョイとディリ。一方、80キロ離れた警察本部には、麻薬奪還に執念を燃やす凶暴な組織のリーダー、アンブ率いる別働隊の大群が迫っていた・・・
作品考察・見どころ
本作の最大の魅力は、一夜の出来事を濃縮した圧倒的な緊張感と、主演カルティが体現する泥臭くも神々しい「父性」の熱量にあります。歌や踊りを排し、バイオレンスと叙情性のみで突き進む演出は、インド映画の新機軸を打ち立てました。絶望の淵にいた男が、まだ見ぬ娘のために「怪物」へと変貌する過程は、観る者の魂を激しく揺さぶります。
闇を切り裂く照明と重厚な音響が織りなす攻防戦は、閉鎖空間特有の焦燥感を煽り、観る者を熱狂の渦へと引きずり込みます。悪の狂気と主人公の静かな怒りが爆発する瞬間のカタルシスは圧巻の一言。ジャンル映画としての美学が細部にまで宿った本作は、鑑賞後の興奮が冷めやらない、正真正銘の傑作といえるでしょう。