あらすじ
また真理子が居なくなった…。自閉症の妹のたびたびの失踪を心配し探し回る兄の良夫だったが、今回は夜になっても帰ってはこない。やっと帰ってきた妹だが、町の男に体を許し金銭を受け取っていたことを知り妹をしかりつける。しかし罪の意識を持ちつつも互いの生活のため妹へ売春の斡旋をし始める兄。このような生活を続ける中、今まで理解のしようもなかった妹の本当の喜びや悲しみに触れ、戸惑う日々を送る。そんな時、妹の心と身体にも変化が起き始めていた…。ふたりぼっちになった障害を持つ兄妹が、犯罪に手を染めたことから人生が動きだす。
作品考察・見どころ
本作は、極限の貧困と障害という重い題材を扱いながら、倫理の境界線を鮮烈に揺さぶる傑作です。片山慎三監督の徹底して生々しい演出は、目を背けたくなるような人間の業をあぶり出す一方で、そこにある確かな「生」の熱量を焼き付けています。単なる社会派ドラマに留まらない、毒気と愛が混ざり合った唯一無二の質感は、観る者の価値観を根底から覆す衝撃を秘めています。
松浦祐也と和田光沙による魂の震えるような怪演は、言葉を超えた兄妹の絆を証明しています。救いのない状況下で「生きる」ことへの執着が肯定される瞬間、私たちは美徳や正義の脆さを突きつけられるでしょう。邦画の枠を破壊するほどのエナジーに満ちた、紛れもない衝撃作です。