本作は映画黄金時代への鎮魂歌であり、芸術に憑りつかれた表現者たちの狂気と気高さを描く傑作です。ジェラルディン・チャップリンが見せる、老いへの抵抗と創作への渇望が混ざり合った凄絶な演技は、観客を陶酔の渦へと誘います。カリブの湿り気を帯びた退廃的な色彩美が、夢と現実の境界を溶かしていく演出は、映像表現の極致と言えるでしょう。
ウド・キアという異才を配した布陣は、物語に奇妙な緊張感とエレガンスを添えています。未完の遺志を継ごうとする執念は、表現者が抱く永遠への祈りそのものです。映画への愛を剥き出しにした本作は、観る者の魂を激しく揺さぶり、忘れがたい残像を刻み込みます。一度足を踏み入れれば、その耽美な迷宮から抜け出すことはできないはずです。