吹き抜けるバルト海の冷たい風と、灰色の空が支配するウーゼドム島の風景。本作の真髄は、その寒々しい情景が映し出す人間の孤独と、心の奥底に沈殿する過去の亡霊たちにあります。単なる謎解きに留まらない、重厚な北欧ミステリーにも通じる静謐な緊張感が、観る者の神経を鋭く研ぎ澄ませてくれるでしょう。
主演のカトリン・サスが体現する、罪を背負った元検事の凄みには圧倒されます。揺るぎない正義と、壊れやすい脆さが同居する彼女の視線は、法では裁ききれない人間の業を浮き彫りにします。剥き出しの感情が交錯する演技合戦は、まさにこの作品でしか味わえない、最高に贅沢でビターな映像体験を約束してくれます。