イタリア喜劇界の至宝たちが一堂に会した本作の真髄は、理屈を超えたナンセンスな笑いの応酬にあります。エンツォ・イアケッティを筆頭に、ルチアーナ・リッティツェットら名優たちが織り成す絶妙な間と掛け合いは、緻密に計算された不条理劇の極致。映像表現ならではのシュールな視覚的ユーモアが、観る者の常識を鮮やかに裏切っていきます。
現代社会の滑稽さを鋭く突く風刺精神が根底に流れつつも、作品を貫くのは人間への温かな肯定です。日常の些細な亀裂から生まれるカオスを、これほどまでに熱量高く、かつ軽やかに描き出した演出は見事。単なるコメディの枠を超え、観る者の心に強烈な解放感を与えてくれる、映像表現の豊かさに満ちた野心作といえるでしょう。