イタリアらしい情熱とユーモアが横溢する本作は、男女の永遠のテーマを多層的な群像劇で描き出す手腕が実に見事です。監督はステレオタイプな性差をあえて強調することで、その先にある普遍的な人間味や愛おしい欠点を鮮やかに抽出しています。軽快なテンポで綴られる映像美は、観る者の心を解きほぐし、笑いと共に深い共感を呼び起こす魔力を持っています。
パオラ・コルテッレージら実力派俳優陣の、抑制と爆発を使い分ける演技力も圧巻です。意地を張り合いながらも理解を渇望する人々の滑稽で切ない姿は、スクリーン越しに熱烈な生命力を伝えてきます。性別の差異を乗り越えて個として向き合うことの難しさと尊さを説く本作は、鑑賞後、大切な誰かを深く理解したくなるような至福の余韻を約束してくれるでしょう。