アニエス・ヴァルダという巨星の産声ともいえる本作は、後のヌーヴェルヴァーグを予見させるあまりにも大胆な構成が魅力です。ドキュメンタリー的なリアリズムで描かれる漁村の日常と、様式美に彩られた男女の対話。この相反する二つの軸が、鮮やかなモンタージュによって溶け合い、個人の愛の苦悩を普遍的な生の営みへと昇華させています。
若きフィリップ・ノワレが見せる硬質な演技と、光を巧みに操った幾何学的な構図は、今なお色褪せない芸術的完成度を誇ります。映画という表現形式の可能性を拡張し、単なるロマンスの枠を超えて魂の深淵を描き切った、映像詩の極致をぜひその目で目撃してください。