あらすじ
勝新太郎が盲目の居合い斬りの達人“座頭市”を演じる傑作時代劇シリーズの第17作目。秩父の宿場で居酒屋に入り浸りの医師・順庵と意気投合した市。市を弟の仇と狙う兇盗団の一味と激しい戦いを繰り広げることに……。
作品考察・見どころ
本作の最大の魅力は、勝新太郎演じる市の「孤独な凄み」と、志村喬という日本映画界の至宝が放つ「静かな重厚感」の魂のぶつかり合いにあります。安田公義監督による叙情的な映像美が、盲目の居合抜きという非現実的なアクションを、血の通った人間ドラマへと昇華させています。ただの剣戟映画を超えた、運命に抗う男たちの悲哀が画面から溢れ出しており、観る者の心を激しく揺さぶります。
また、光と影を巧みに操った演出が、市の内面にある闇と一筋の希望を鮮やかに浮き彫りにしています。敵役との心理戦から一転して、静寂を切り裂く刹那の殺陣へと雪崩れ込む緩急の妙は、まさにシリーズ最高峰の完成度と言えるでしょう。理不尽な世を生き抜く男の覚悟が、抜刀の一撃にすべて凝縮されており、映像表現としての極致を体感させてくれる傑作です。