フランキー堺と森光子という喜劇の天才が火花を散らす本作は、単なる笑いを超えた夫婦の絆への鋭い風刺が最大の魅力です。夫を売るという破天荒な設定を軸に、人間の欲や見栄を軽妙なテンポで炙り出す演出は圧巻。彼らの絶妙な間合いが生む笑いは、滑稽ながらも切ない人間味に溢れ、観る者の心を掴んで離しません。
社会の中で翻弄される小市民の姿を、乾いた笑いへと昇華させる手腕は実に見事です。笑いの果てに本当の幸福とは何かを問い直す重厚な人間ドラマとしての側面も持ち合わせており、鑑賞後には爽快感とともに深い余韻が残ります。今こそ見直されるべき、人間の本質を突いた極上のエンターテインメントです。