本作が描くのは、伝説の武道家が誕生する前の人間・李小龍の剥き出しの躍動感です。後に世界を熱狂させる拳の鋭さではなく、香港の街角で恋に悩み、家族とぶつかり、多感な思春期を駆け抜ける一人の青年のポートレートとして、この上ない輝きを放っています。アーリフ・リーが体現する瑞々しい生命力は、観る者の胸に眠る若き日の情熱を鮮烈に呼び覚ますでしょう。
特筆すべきは、名優レオン・カーフェイ演じる父とのドラマが生む深い余韻です。アクションの裏側にある、伝統を重んじる父と新時代を望む息子の葛藤は、単なる伝記映画を超え、普遍的な家族の絆へと昇華されています。神格化された英雄の血の通った鼓動を五感で感じる、魂を揺さぶる一作です。