映画制作という熱病に侵された者の狂騒を、瑞々しくもシニカルに描いた稀有な一作です。大森一樹監督が映画愛を全開にして放つ本作の本質は、虚構と現実の境界が溶け合うスリリングなメタ構造にあります。スクリーンの裏にある混沌を表現へ昇華させる手腕には、映画という魔術への深い敬意と挑戦的な遊び心が溢れています。
伝説的作家・鈴木清順の圧倒的な存在感も見逃せません。彼が映るだけで画面には品格が宿り、若き表現者の葛藤と交錯して「創ること」の苦悩と歓喜を鮮烈に浮き彫りにします。暗闇で光を待ち続けるすべての人に捧げられた、泥臭くも高潔な映画賛歌です。