チャウ・シンチー作品の中でも、本作は「無力な凡人が奇跡を起こす」という王道テーマを、ナンセンスな笑いと圧倒的な熱量で昇華させた傑作です。最大の魅力は、ン・マンタとの絶妙な掛け合いが生み出す独特の間と、パロディの枠を超えた予測不能なアクション演出にあります。一見ふざけているようでいて、キャラクターの切実な純愛が物語の芯を貫いており、観る者の心を掴んで離しません。
本作が放つ強烈なメッセージは、才能なき者が愛のために恐怖を克服する瞬間の美しさです。滑稽極まりない修行や決闘が、最後には手に汗握る感動へと変わる演出は、まさに彼特有の真骨頂と言えるでしょう。弱者が知恵と勇気、そして少しの狂気を武器に強者に立ち向かう姿は、単なるコメディを超えた魂の解放を感じさせてくれるエネルギーに満ち溢れています。