ダグラス・フェアバンクスの超人的な身体能力が、常識を逸脱した不条理なコメディと融合した、まさにサイレント映画黄金期の奇跡的な一作です。探偵という記号を徹底的に茶化しながら、画面いっぱいに広がるエネルギッシュな躍動感は、現代の観客をも呆気にとらせるほどの爆発力を持っています。
特筆すべきは、当時の時代背景を逆手に取ったブラックユーモアの鋭さです。禁忌を笑いに変える大胆な演出と、フェアバンクスの陽気な狂気が混ざり合い、単なるジャンル映画を超えたシュルレアリスム的な世界観を構築しています。理屈を超えた視覚的快楽に身を任せるべき、映像史に刻まれた怪作といえるでしょう。