フィリピン喜劇界の至宝ドルフィが実子ヴァンドルフと共演した本作は、血縁ゆえの純粋な親和性が画面から溢れ出す奇跡的な一作です。単なるコメディの枠を超え、父子の絆を泥臭くも美しく描き出す演出は、観客の家族への郷愁を強烈に揺さぶります。喜劇王が見せる哀愁漂う表情と、無垢な子供の対比が、作品に深い情緒と圧倒的な説得力を与えています。
アルマ・モレノが加わることで生まれる人間模様の機微も秀逸です。笑いの裏側に潜む生活の苦しみや、それを乗り越えようとする人間の強さが鋭く活写されています。人生の酸いも甘いも噛み分けた大人こそが心打たれる、普遍的で力強いメッセージを内包した人間ドラマの傑作と言えるでしょう。