寺山修司の美学が凝縮された本作は、鮮烈な色彩と歪んだ時間が交錯する究極の映像詩です。スクリーンに溢れる「赤」の衝撃とシュルレアリスム演出は、観る者を論理を超えた忘我の境地へ引きずり込みます。五感を刺激する呪術的な儀式のような圧倒的映像美こそが最大の見どころです。
記憶の深淵を彷徨う青年の探求心も圧巻です。三上博史が放つ繊細さと狂気が同居した熱演は、母性への執着を鮮烈に描き出します。迷宮の中で自らの根源を問い直すその姿は、観客の魂に「人間とは何か」という問いを突きつける、強烈な情念に満ちています。