1929年、若き巨匠の才気がほとばしる本作は、当時のモダンな学生文化と青春の輝きを鮮やかに切り取っています。斎藤達雄と結城一朗が繰り広げる軽妙な掛け合いは、洗練されたリズムを刻んでおり、瑞々しい映像表現が横溢しています。特に雪山での躍動感あふれるショットは、サイレント映画ならではの視覚的喜びに満ち、観客を一気に魅せます。
根底に流れるのは、若さゆえの滑稽さと切なさという普遍性です。後のスタイルへと繋がる構図の妙や日常の機微を捉える鋭い視点が既に芽吹いており、初期作品ならではの自由な精神が光ります。不変の青春像を鮮烈に描き出した、映画史の原石たる至高の一作です。