川島雄三監督の演出が光る本作の真髄は、若尾文子が体現する「女」という生き物の不可解な生命力にあります。ただ翻弄されるのではなく、欲望を血肉に変えながら自己を確立していくヒロインの姿は、観る者の倫理観を揺さぶるほど強烈です。気品と肉体性が同居する映像美は、映画でしか到達し得ない芸術の極致です。
男たちの間を泳ぎ渡り、魂を研ぎ澄ませていく過程は、真の自立と覚醒を鮮烈に描き出します。フランキー堺ら名優たちが彼女の輝きを一層引き立て、社会の底辺から自己の再発見へと至る魂の遍歴を支えています。生の意味を問い直すその鮮やかな幕切れは、今なお観る者の心を熱く焦がします。