本作の真髄は、メキシコシティの熱気溢れるストリート、テピト地区の喧騒を丸ごとフィルムに焼き付けた圧倒的な臨場感にあります。単なるコメディの枠を超え、混沌とした闇市場で泥臭く生き抜く庶民のエネルギーを、一切の虚飾を排して活写した映像表現は、観る者の本能を揺さぶる強烈な生命力に満ちています。
ロベルト・グスマンやラファエル・インクランといった名優たちが披露する、絶妙な掛け合いと身体を張った演技は圧巻です。彼らが体現する不屈の精神と、カルメン・サリナスが添える包容力のある存在感が見事に共鳴し、過酷な現実を笑い飛ばす逞しさが胸を打ちます。逆境さえも娯楽に変えてしまう、映画という表現が持つ根源的なパワーがここに凝縮されています。