あらすじ
ある一軒の家には二つの時間が流れていた。
14歳のセリは母親の桐子と二人暮らし。セリは桐子が新しい恋人をつくったことに反発している。ある日、セリはお父さんの倉庫からクリスマスツリーを出してきて……。
自分がどこからやってきたのかわからない、突然記憶を失くしてしまった女、サナ。目覚めた船の中で、サナは透子という女に出会う。あてのないサナは透子の家で暮らし始める。
作品考察・見どころ
ひとつの家という閉ざされた空間の中で、異なる二つの世界が重なり合いながらも決して交わらない。その不思議な構造が、観る者の時間感覚を心地よく狂わせます。固定されたカメラが捉える光と影の移ろいや、静謐な音響設計は、まるで家そのものが意識を持って呼吸しているかのような神秘性を湛えています。
河西和香や安野由記子らが見せる繊細な演技は、日常の何気ない動作に深い孤独と慈しみを宿らせ、この映画を単なる実験作ではない、血の通った詩へと昇華させています。同じ場所を共有しながらも別の宇宙を生きる彼女たちの姿は、他者との距離感や「個」の在り方を鮮烈に問いかけ、観る者の心に静かな衝撃を残すはずです。
映画化された原作や関連書籍を読んで、映像との違いや独自の世界観を楽しみましょう。