本作の真骨頂は、エルフリーデ・オットら名優が繰り広げる緻密なアンサンブルです。舞台俳優ならではの研ぎ澄まされた間合いとユーモアは、単なるコメディを超えた芸術的完成度を誇ります。一挙手一投足が心地よい混沌を呼び、スクリーンから溢れ出す熱量が観る者の心を鮮やかに躍らせます。
嘘というテーマで人間の不完全さを肯定する本作。虚構で守ろうとする愛や矜持が、洗練された演出で滑稽かつ愛おしく描かれます。真実の裏側にある人間臭さをエレガントに笑いへ昇華させた手腕は見事。鑑賞後には、爽快な解放感と人間賛歌の余韻が胸に深く刻まれる傑作です。