サフディ兄弟の原点たる本作は、粗削りながらも強烈な生命力が全編から溢れ出しています。ドキュメンタリー的な手触りの映像が、日常の些細な瞬間を異様な緊張感と滑稽さへと変貌させる演出は見事です。計算された不協和音が奏でる予測不能なリズムに翻弄され、映画が本来持つ「生の衝動」を体感せずにはいられません。
キャスト陣が織りなす演技は、虚構と現実の境界を鮮やかに破壊します。社会的不器用さを笑いに昇華しつつも、そこには人間への深い洞察と切なさが同居しています。後の傑作群に通じる、追い詰められた人間の狂おしいほどの熱量が凝縮されており、この心地よい混乱こそが本作の真骨頂といえるでしょう。