切り立った崖と荒れ狂う波が支配するスコットランドの島を舞台に、人間の根源的な業を描き出した本作は、映像から土の匂いが立ち上るような力強さに満ちています。厳しい自然がそのまま登場人物たちの荒々しい内面を映し出し、観る者は理屈を超えた生命の躍動と、運命の残酷さに圧倒されるはずです。
パトリシア・ロックの危うい魅力と、閉鎖的な共同体の狂気が入り混じる緊張感は白眉です。伝統という名の暴力と本能が衝突する瞬間の凄みは、現代映画にはない泥臭くも崇高な美学を放っており、人間ドラマの深淵を鮮烈に突きつける力作と言えるでしょう。